暦本純一 著 妄想する頭 思考する手
読了
日本が誇る情報工学者。そして東京大学大学院情報学環の教授であり、ソニーコンピューターサイエンス研究所の副所長でもある。
iPhoneが日本で発売された当時、聴き始めたPodcast(今も番組は残っていますが)に「アキバ系!電脳空間カウボーイズ」と言う番組があり、そこで暦本センセを初めて知った時から、憧れの存在の方です。
単身赴任で上京することになり、その数年後に偶然、暦本センセの講演を拝聴する機会に恵まれました。
もう本当に、ウキウキしながら行った覚えがあります。
当然ながら、最前列の目の前の真ん中の席に陣取って拝聴させて頂きました。
本書は、暦本センセが研究していく上で、大切にされている考え方(妄想)や、ご自身のポリシーとされている事などを中心にした内容ですが、常に何かを探し求め、何かを解決する「モノ」や「コト」を生み出していくのが好きな私にとっては、この「妄想」と言う言葉が持つ意味が、今ではバイブルのような意味合いを持っています。
これから自分は何を探し求めて生きていけば良いのか、どうやったら新しいことを考えることができるのか、そんな感じで煮詰まってしまった若い方にも、参考になるのではないかと思います。
作中の一部に、ジェイムズ・ティプトリーJr.の「接続された女」のくだり、生身の人間がアンドロイドに乗り移って意のままに操るという話があります。ここではアンドロイドは美女で、乗り移る女は非モテ系の設定、それが男から求婚を受けたとき、「愛されているのは果たして外見か中身か?」を言う部分を読んだ時、すでに今話題のVRChat でも似たような現象が起きていると某所で聞いた事を思い出し、「やはりそうなのか」と…
今後、VRの世界が今のVRChatのような形のままで進化していくとは思えませんが、オリィ研究所で有名なあのロボットのようなものがVRの世界でも当たり前になった時、必ず同じようなことがまた出てくるのではないのかなぁ。
ジャックイン、映像や音声だけでなく、ある意味オリィ研究所のあのロボットと相通じる部分があるよなぁ。
やはりテクノロジーは面白い。