言わずと知れた、池波正太郎先生の逸品です。
昭和57年に文庫版の初版が出たそうです。
その前にハード版が出ている事からすると、書かれた時代はそう古くはなさそうなのですが、言葉などは新仮名遣いになっていたり、漢字もかなり平仮名に変えてあったりするため、若干の違和感を感じる事もありました。
作品と解説を読んで思うのは、「人間の魅力を描いている」これに尽きると思います。
現代社会は、差別や◯◯ハラスメントと、人は平等であり、互いに優しく寄り添い生きることが大切だと声高に叫ばれてはいるものの、実際のところその言葉に血は通っているのだろうか?と首を傾げるような事ばかりな気がします。
たしかにそれは大切だとは思いますが、言葉ばかりが先行して、実際には小狡い人間が、それらの言葉を利用して、正直に生きる人間を「騙し」「蹴落とし」「陥れ」ながら、ヌクヌクと生きる人が多いような気がするのです。