言わずと知れた塚原卜伝を記した作品です。
何かしらの武道をかじった人でなくとも、卜伝という名前をご存知な方もいらっしゃると思いますが、私も興味はあっても風野真知雄作品ではなく、卜伝の単なる伝記ということであれば、手を取らなかったのではないかと思います。
どこまでが実際に言い伝えられていた内容なのかはわかりませんがこの方が書かれると、単なる面白い作品ではなく、その中に重みを感じさせない重みがあるというところが予想されるのです。
卜伝の言い伝えの中に、無手勝流というものがありますが、これは武道に限ったことではなく、普通に生きていく上でも役に立つ心構えを解いているのではないかと思います。
特に取引先や上司の「無知で無茶な圧」を感じながら生きているサラリーマンには...
この作品を読む前から、その辺に気がついている方は見た目はサラリと生きながら、出世していくのでしょうねぇ。
でも、この作品を読むと、そうではなく飄々と自分の道を求めて生きていく姿が見え、そこに自分を重ねてみたくなります。まぁ、無理でしょうけどねぇ。
そんな逸品です。