上田秀人 著 辻晩奮闘記 三 鎖国
読了
島原(天草)の乱の後の長崎に舞台を移した逸品
この方は「一作一作全力で書く」とおっしゃられている通り、読む作品が全て手に汗握る力作が多いのは間違いないです。
しかし人の狡賢さ、妬み、嫉みなど、人が持つ一番いやらしい面を書き綴るのが上手いがために、「なるほど!そう考えるのか」と思う部分も多いが、読み進めるのが辛くなる事があるのも事実。
都会(だけではないが)の「自分さえ良ければ他は蹴落とす」腐った根性の人間を描かせたら天下一品なのは間違いない方です。
私の知る限り、人を動かして生きていくしか術を持たない(能のない)人間を描かせたら、天下一品ではないかと思います。
その世界も面白いといえば面白いのですが、人を利用することしか考えずに生きていくのって、本当に面白い人生と言えるのでしょうかねぇ。