御槍拝借に始まるシリーズ二十二作目、若干の衰えを感じる中にも、筆者の心安らかな世を望む心が垣間見える逸品です。
秋には物語の終焉を迎えることが公表されたこの作品ですが、まだまだ続いて幸せな世の中を紡いで欲しいと願わざるを得ません。
生きていくために他人を蹴落とし、騙しのし上がる術を作品の芯にする上田秀人氏の作品も凄味があって面白いのですが、人として生きていくための優しさを問うような佐伯先生の作品は、ギスギスした今の世を生きる全ての人に読んで頂ければ何か変わるのではないかと思ってしまうのは、愚かな事なのでしょうかねぇ。